留置場の勤務は?
留置場の勤務も3交代がほとんどだと思います。当直の朝出勤して、次の日の朝までという勤務です。この場合、当直の朝は午前8時30分頃には本署に着いて、制服に着替えて、一服(当時喫煙者でした。今は吸ってません)して、留置管理課の部屋に行き、そこで朝会が始まります。朝会が終わるのは午前8時50分頃。留置場内に入ると、点呼というものがあります。よく刑務所のテレビをやっているときがありますが、感じとしては同じです。そこから一日が始まります。留置場には日課時限があり、何時には何をやるということが決まっています。それは理由がない限り、守らなければいけません。簡単に言えば、食事の時間、就寝時間、睡眠時間などです。人が生活するために必要なことで、これは守らなければいけません。被留置者(中に入っている人のことを こう呼びます)食事を与えないなどは 論外です。勿論お風呂などもそうです。その日課時限に沿って仕事を進めます。あらかじめ、何時から何をやるということを頭に入れて、次は何をするのか考えながら行動しなければなりません。先に述べたこと以外では面会、護送(検事調べ、裁判、引当、移送など)、取調べ、新規入場(新しく逮捕されて留置場に入る手続き)など、いろいろあります。午後9時には、就寝時間となりますが、皆が寝たからといって、何もしなくて良いわけではありません。1時間に数回各部屋を巡回したり、次の日の支度をしたりと、やることは たくさんあります。まあ、やらない人もいますが、その場合、必ず誰かが その仕事をしています。夜中の勤務は ほとんど一人だと思います。私は そうでした。で、朝方は食事の支度をしたりして、起床時間となります。留置されている人が歯磨きをしたり布団を片付けたりするのを立ち合いしてみます。それが終わると食事で、看守はお茶を入れたり、弁当を配ります。私の居たところでは、朝だけ味噌汁が出たので、お椀によそって配食します。それが終わると食器を洗ったりして引継の準備をします。そして交代の時間になり点呼が終わると一応勤務は終了です。一応です。その後は非番になりますが、非番が始まると時間外勤務が始まるということです。点呼が終わって引継が終わると、運動の時間となります。運動といっても本当に運動をするわけではありません。これは決まっているものですが、運動場という部屋があります。ここは一応天井に屋根がなく(あるところもあります)空が見える状態になっています。そこで留置されている人が出て、髭を剃ったり、話をしたりする時間になっています。勿論本当に運動しても良いのです。まあ軽いやつだけですが。この運動の立ち合いを非番でやります。留置されている人が多いとお昼位までは楽にかかります。また、お風呂の日(週に2回)とかぶると、両方を非番が担当するので、まあ時間が掛かります。それが終了して、初めて非番となるのです。家に帰れば眠くて眠くてたまりません。ほぼ寝てました。ざっと話すと、こんな感じです。
留置場内の巡回
留置場の仕事の一番重要なことは、留置されている人(以下留置人と書きます)が健康に裁判を受け、刑が決まった留置人を刑務所に移し、刑を受けてもらうことにあります。なので、留置されている間には、月に2度専属のお医者さんが来て、留置人の健康診断をします。そこで、必要があれば、投薬となったりします。薬の管理も看守がやります。それくらい留置人の健康状態を保つことは大事なことです。留置人だって、普通に人間です。特別なことは一切ありません。罪を犯したかどうかという点だけが違うところです。しかしながら、留置されたからといって、絶対犯罪者か というと、そうではなく、留置されている間は、普通の人としての待遇をしなければなりません。刑が決まると受刑者という身分になりますので、また変わってきます。留置場と刑務所では待遇がまったく違います。刑務所でも、まだ刑が決まっていない未決勾留という身分の人がいます。その身分の時は、まだ少しは自由ですが、刑が決まって受刑者という身分になると、一変します。厳しくなります。犯罪を犯して逮捕されると、このようにいろいろな身分になります。最終的には 前記のとおりに進みますが、これがもし留置人が留置場内で亡くなったとか、病気になった、となると、ちゃんと裁判ができなくなります。その為健康診断があったりするのですが、留置場の巡回も それに関係があります。よく留置場で自殺を図る人がいます。私も以前何度か そういう方がおり、早期発見したことがあります。だいたいは室内のトイレのドアに着ているシャツを掛けて首を吊るというのが一番多いです。しかしながら、実際トイレの中というのは、当然のことながらプライバシーが守られなければならない場所です。なので、中は見えません。それを 如何にして発見するか というのは看守の永遠のテーマだと思います。もう感とか雰囲気とか、そういうもので発見するしかない感じです。とはいえ、巡回をして発見しろという お達しがありますので、言い訳はできません。日頃から いろいろ話をしたりして、この人は 今どんなことを考えているのか、今どんな心境なのか、どうしう性格なのか、などなど、いろいろ考えていないと、発見することは困難でしょう。いろんな性格の人がいるので、中には すぐ文句を言ったり、皆に嫌がられる人もいますが、たいがい皆、そういう人はなるべく避けて、話をしないようにしている感じでしたが、私は、そういう人こそ、積極的に話をするようにしました。結果的に、その方が、いろいろなことがわかります。相手も 自分を信用してくれるようになります。看守の仕事って、留置人と なぁーなぁーになってはいけませんが、人として扱わないもの問題です。そのギリギリのラインで接するのが一番難しい。留置人が不公平感を持ってもいけないが、皆同じに接すると これもまた 違ってきます。それが本当に難しいのです。留置場を巡回しながら、いろいろな状況を把握していく必要があります。なので、巡回は とても大事な仕事なのです。
被留置者の生活をサポート
看守係は、捜査部門とは完全に別のものだということになっています。というのは、捜留分離という制度があり、捜査部門と留置部門は、全く別の扱いである、という決まりです。捜査部門はあくまで事件に関する捜査を行う部署で、留置部門は捜査とは関係ないので、被留置者の留置場でも生活をサポートするという感じの仕事になります。警察官の中には、留置場なんて警察の仕事ではない、なんて言う人もいますが、警察の仕事なんです。 それは置いておいて、生活のサポートというと何それ?でしょうが、細かく言いますと、被留置者の健康状態をサポートするというのが一番なのかと思います。留置場の目的は被留置者が裁判になり、健康な状態で裁判を受けさせる、というのが、目的なのです。あくまで人権に配慮してやらなければなりません。食事を配食したり、入浴させたり、面会、運動などなど、留置場の仕事はたくさんあります。
新規入場について
順番に話をしますと、まず最初は新規入場といって、逮捕されて留置場に入場する時の手続きです。これは身体検査をして、持ち物検査をして、留置場に入場させます。これも一つ一つ、持ち物を書類に記載したり、かなり面倒な仕事になります。
食事について
食事の支度も看守がします。といっても、作るわけじゃありません。だいたいは仕出し弁当になりますので、それを配食します。食事が終われば、その片付けをします。一日3食必ず提供します。
入浴について
お風呂は週に2回でした。時間制限があり、一人15分です。暑い夏などは、大変ですね。毎日入りたいところですが、これもやむを得ず週に2回となっています。管理運営上の問題があるためです。警察官が対応できないんですね。人数の関係で。ただ、普通に湯舟はありますので、沈むことはできます。入口外では、非番の看守勤務員が立ち会いをしています。
運動について
運動とは、被留置者が留置場の運動場で運動をする時間です。といっても実際に運動している人は、ほぼいません。運動場では一応空が見えます。そこで被留置者同士が話をしたり、看守も混ざって話をしたり社交場のような感じです。看守の仕事は、そこでも立ち合いをすることが仕事になっています。大事なのは、そこで話をして、被留置者が、どんなことを考えて、どういう性格なのかを把握することにあります。事故防止は当たり前です。
面会について
面会は一般面会と弁護士面会があります。その一般面会での立ち合いをします。また差し入れ、宅下げ(留置場の中にあるものを面会に来た人に持ってかえってもらう)などの手続きをします。
釈放手続きについて
釈放とは嫌疑不十分で釈放になったり、罰金が決定して釈放になったりと、いろいろなパターンがあります。釈放が決まると釈放指揮書というものがでます。(出ない時もあります)それに基づき、釈放手続きをします。手続きは物品の返還が主な仕事になります。物品返還が終了したら、釈放となります。
相談など
その他の仕事では、被留置者の相談にのったりすることも仕事であります。悩み事を聞いて、アドバイスしたりしました。その内容は、ほんと十人十色であり、いろいろな人がいろいろな事を考え、悩んでいるんだなぁと、感じました。自分としても勉強になりました。
留置場の仕事のまとめ
ここまで、いろいろ書きましたが、これだけが仕事ではありません。細かく考えると、ほんと留置場の仕事は難しいことが多いのです。ここでは言い切れない感じです。これから警察官になろうと思っている方や、現職警察官の方で、留置管理の仕事につきたいと思っている方の参考になれば幸いです。
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